
Pじゃなくてブロガー兼広告クラスタでゴメンナサイ。
1967年にドイツのローライ社から発売された35mmフィルム用のカメラです。
カール・ツァイスのテッサーレンズなど一流のパーツを驚異的なコンパクトボディーに押し込んだ、当時としては全く新しいコンセプトの製品でした。
レンズは特徴的な沈胴式のものですが、距離計がなく目測でピントを合わせなくてはならないなど、どちらかと言えば、カメラをよくわかった人のためのセカンドカメラの趣がありました。発売当時はかなり高額で、高級なカメラであったようです。
小学生時代の私は写真家だった祖父に手渡され、このカメラでよく写真をとりました。子供心にもこのカメラの精巧なメカニズムが大好きでした。いまにしてみれば、かなりとんでもないことをしていたものだと思います。
祖父は大阪の裕福な縮緬問屋の跡取り息子として生まれましたが、かなりの放蕩息子だったようです。戦後は放蕩もたたったのか店も傾き、晩年は京都でDPE屋兼写真家として生計を立てていました。いまにして思えば、その時代でも持っていたカメラはリンホフやライカ、ハッセルブラッドにこのローライ35とドイツ製の高級機ばかりで、いかにも祖父らしい選択でありました。
祖父が死んだ後、このローライ35は形見分けとしてわが家にやってきました。
リンホフやライカでなかった理由はよくわかりませんが、私としては一番慣れ親しんだカメラだったのでうれしかった記憶があります。もう何年もさわっていませんが、いまも実家のどこかにあると思います。
私はいまでも大柄な一眼レフよりコンパクトカメラが好きです。だから最近発売になったSONYのRX1などは欲しくてたまりません。ひょっとしたら、そうした好みの原因には、私のカメラ体験の原点にこのカメラがあるからかもしれません。
もうフィルムカメラの時代でもなく、機械というよりはむしろ電子機器の一つになったデジタルカメラですが、このカメラの優れたコンセプトは時を超えて、最新のコンパクトデジタルカメラの中にも生きているように思えるのです。

Illust :なかな